引用:アマゾン
一人の天才に率いられた王国
小売り業界に革命をもたらした男。
amazonとその創業者ジェフ・ベゾス氏の成功の軌跡が描かれたのが本著「ワンクリック」だ。
「いかにしてamazonは生まれたのか?」
「ジェフ・ベゾスはどんな人物なのか?」
「なぜamazonは急成長を遂げたのか?」
淡々として読みやすい文章でamazonの軌跡が描かれ、amazonの本質が解き明かされていく。
そこには凡人にはマネできない「天才」ゆえの成功があった。
著者経歴
リチャード・ブラント。シリコンバレーについて20年以上も書き続けている記者。テクノロジー界に広く知られている。ビジネスウィーク誌時代には全米雑誌賞を受賞。
amazonは天才が才能を発揮した結果
ジェフ・ベゾスは幼少の頃から天才だった。
彼のリーダーシップは人柄というよりも、人一倍明晰な頭脳によって物事を解決してしまう能力にある。
並外れた頭脳、それが彼の最強の武器だった。
そしてそれに裏打ちされた自信、実行力、粘り強さ。
そんなジェフ・ベゾスは幼少の頃より天才の素養が垣間見えていた。
3歳で自分のベッドを分解してバラしたり、一度集中すると他のものが何も目に入らなくなる集中力。
この本によると彼が学生時代に挫折したのは1回だけのようだ。
あ、でもオタク気質だったのでモテなかったらしい。
本人はそれをあまり気にしてないようには書かれていたけど。
天才のジェフ・ベゾスは、26歳でバンカーズ・トラスト最年少副社長になるなど数々の輝かしい成功を収めながらも、職を転々とする。
amazon設立はその4年後、30歳の頃だったようだ。
そのamazonを設立した理由も非常にロジカルで、素晴らしい分析の上に成り立っていた。
彼は本が好きだったが、だから本屋を作ったわけではない、徹底的に現実主義だった。
元同僚(?)シシルニスキーは、ジェフ・ベゾスをもはや理解できなかったようだ。
「私にとって、彼は火星人のような存在なのです」
成功するために必要なものとは何か?
ジェフ・ベゾスは天才だ。しかも、果てなき努力をする。
だからこそ大きな成功を得る事ができた。
「ワンクリック」を読んだ感想として、彼の本質はオタクである。
強い武器はずば抜けた知能だが、そこに実行力も備わっていた。
周りが見えなくなる集中力。
世界を変えるに足る野心。
目的を達成するまで諦めない粘り強さ。
そしてこれらを持つがゆえの圧倒的自信もあったのだ。
ジェフ・ベゾスはどんなリーダーか?
その人物像を探ってみれば、『火星人』という事になるだろう。半分は本気だ。
彼は今でこそ大きな成功の実績もあってカリスマ性も備えているだろうが、元々は人を惹きつける『人柄』のようなものは凡庸だったのではないだろうか?
ただ圧倒的な能力と自信、それだけで世界を変えてきた。
普通の成功者であれば高い能力に加え、人柄や信念などカリスマ性に頼った部分で組織を動かす。
だがジェフ・ベゾスはそうではない。
圧倒的頭脳から導き出された経営戦略のみで会社を成功させたようにしか感じなかった。
成功の要素を兼ね備えた天才の軌跡
極端に言えば、ビジネスを成功させるために愛だの社会貢献だのは必要ない。
理念や信念が絶対必要ではない。
論理的に裏打ちされた正しい根拠で経営戦略を立てればジェフ・ベゾス率いるamazonのように成功するという事だ。
amazonは「世界で一番顧客を大切にする企業」という方針を打ち出しているが、それはジェフ・ベゾスが社会奉仕の精神に目覚めているからではなく、ビジネス上それが一番有利だからだ。
絶対的な能力は、曖昧な精神論を打ち負かす好例といえるだろう。
もちろん、だからといって普通のリーダーがジェフ・ベゾスの真似をしてもうまくいかないはずだが。
この本から何が得られるか?
ビジネスが成功するためには圧倒的能力だけでも可能ということ。
amazonの成功する過程をすべて描いているので、どういう経緯で今のamazonがあるのかがわかる。
一人の天才がどんな人生を進んで、どういう人物なのかがわかる。
この本の欠点
ジェフ・ベゾスが異端の天才児過ぎるので、真似できないものも多い。
書評まとめ
一つの業界ではなく、一つの会社だけで世界の小売業を激変させたamazonというモンスター企業について深く知れる本
amazon創業者ジェフ・ベゾスとは? その人物像を描いた本。
評価
満足