【そこそこ】倒産する会社を分析し尽くした良書<会社はこうして潰れていく 著:帝国データバンク情報部>レビュー!

倒産は経営努力だけでは防げない。

愛するあなたへ。

今日ご紹介する<会社はこうして潰れていく>はあまり前向きではない部類の本です。どちらかと言えば厳しい現実を直視し、冷静さと謙虚さを取り戻す内容といえるでしょうか。

いかにして、どのようにして会社がつぶれるか?

数々の会社の事例を調べ、まとめられた本となっています。

あなたは会社が倒産にいたる経緯や実態を調べてみた事はあるでしょうか?

なんとなく浮かぶイメージでは経営者の怠慢が挙げられます。いくら不況だなんだと言っても、会社のすべてが潰れているわけではありませんよね。潰れる会社というのは全体のごく一部です。

とすればその会社の経営努力が足りなかった、経営者の怠慢だった末の倒産だと判断するのは筋が通っている気もします。

しかし実際には運が大きく絡んでいるといったら、あなたは反発を覚えるかもしれません。

「そんなわけはない。運のせいにして事業をコントロールできていない事実が経営者の怠慢だろう」という声が聞こえてきそうです。

確かにそれも一理あります。でも実際のところ、経済の世界において不測の事態は往々にして起こるのです。例えばあなたが部品会社の社長だというところをイメージしてみて下さい。

果たしてその部品を使う元請け会社の倒産を、あなたは会社の経営努力で食い止められるでしょうか?

CD製造の大手会社の社長であるあなたは、世間のCD需要の減少を食い止めることができるでしょうか?

もちろん、できません。

あなたは自分の会社をいくらコントロールしようとも、会社の外のことまではコントロールできないはずです。

できる事といえば今の会社の技術やノウハウを活かして、まったく新しい需要や取引先を開拓する事ぐらいのものではないでしょうか。

でも場合によってはその攻めの一手があなたの会社に終止符を打つ決定打になる事もあるのです。

つまり経営努力を全力で行った結果として、会社を潰してしまう事もあるのです。

 会社がいかに不安定な存在であるか。「経営努力で倒産を回避できる」という希望的観測は捨てて「ダメなものはダメ」だとこの本を読むと理解してしまいます。

著者の経歴

帝国データバンク情報部。帝国データバンクは企業を専門対象とする国内最大手の信用調査会社。

倒産する会社の共通点

倒産する会社とは一体どういう会社でしょうか?

倒産にも色々な形がありますが、この本を読みながら見出した共通点は「信用を失った会社」です。

例え会社が黒字だったとしても、風評や噂で信用がなくなれば会社は倒産してしまいます。

この本を読んでいると、驚くべきことにお金よりも信用の方が大事なのだという事がわかってきます。

いえ、「信用が大事」というのはもちろん誰だって理解しているでしょう。

だがそれが実際は「お金よりも大事」だと実感している人はどれだけいるでしょう?

信用を買うためであれば金銭的に多少の損をした方が良いという事なのです。もしも信用が買えるならお金を払うべきです。

なかなか衝撃的な事実だと私は思いました。「信用」と「お金」を天秤にかけた時、「お金」を取る人は世の中に必ずしも少なくないからです。しかし、もしもそういった基準で行動していると、あなたはビジネスにおける最も重要な素質を失うことになるかもしれません。

ではなぜそこまで信用が大事なのでしょうか?

なぜなら信用こそがお金を生み出すための原動力だからです。信用がなくなった会社とは誰も取引をしたがりません。取引先がなくなれば、当然お金は入ってこなくなります。

商品を買ってもらう先には会社があり、原料などを売ってもらう先にも会社があり、お金を貸してもらうためにも銀行などがあります。

そのすべてを失ったらビジネスが立ち行かなくなるのは当然なのです。

衰退してゆく業界には注意

ビジネスにおいて一番重要なのは信用です。そして信用を確保するためには、実は経営者の努力だけでは足りない場合があるのです。つまり、外的な要因によって信用が失われる場合があるのです。

例えばいま自動車業界が一気に不況になったとします。

あり得ないかもしれませんが世界中で車の売上が100分の1になり、バタバタと自動車メーカーが倒産しています。それに併せて自動車関連会社は半数以上が倒産してる状態です。

そんなあなたも自動車関連の会社です。もちろん業界の不況によって経営は苦しいですが、会社のコストカット戦略が功を奏して業績は黒字を維持しています。つまり厳しい自動車業界においてあなたはかなり優秀な経営者です。

そんな折、取引先の一つが潰れて売掛金の回収が不可能になりました。

とはいえそこもちゃんとリスクコントロールしていたあなたは、あの手この手で売掛金の7割は優先的に支払ってもらい回収してあったのです。

しかし残り3割も含めて売掛金が入ってくる見込みで運転資金を回していたので、他の取引先への支払うための資金が足りなくなりました。

そこであなたは銀行へ追加融資を頼みに行きます。

とはいえ、取引先が潰れたことが理由で自分の会社の経営が傾いているのではありません。今回の支払いが過ぎればすぐにまとまった資金が入ってくる算段があり、今回の売掛金回収不能を織り込んでも業績も黒字であるから経営は順調だと銀行に説明します。

逆に追加融資をしてもらえなければ、黒字にも関わらず倒産の可能性があります。

しかし銀行は貸し渋ります。それは業界的な大不況の中で、そもそも自動車業界自体に対する信用がもはやないため、いくら口でなんと言おうとあなたの会社が倒産しない可能性はないからです。

黒字であり、自分の会社とは関係のない焦げ付きに対して銀行が貸し渋る事態にあなたは驚くでしょう。

しかし銀行は首を縦に振りません。結果としてあなたは資金繰りできなくなり、業績に問題がないにも関わらず資金ショートを起こすのです。不渡りを出した事が他の取引会社などにも伝わり、あなたの会社が危ないのではないかと他の会社も取引を打ち切り始めます。

そこで売上が一気に減少し、あなたの会社は本当に赤字会社に転落し、とうとう倒産にいたるのです。

つまりあなたの会社が業績の良い会社だったとしても、外部要因によってあっけなく倒産に追い込まれてしまうという事例があるのです。

倒産するパターン

倒産する会社は二つに分かれます。会社としての経営努力が足りずに潰れる会社と、経営努力に関係なく潰れる会社です。

経営努力に関係なく潰れる会社は先ほど書いた通り、関係取引先から起因するトラブルです。他にも法改正や原材料などのコスト増加によっても倒産に追い込まれるケースは後を絶ちません。

例えば民間の金融機関が法改正によって軒並み潰れたのは記憶に新しいところです。これも並の経営努力などでは回避できない部類でしょう。

一方で、会社の経営努力が足りずに潰れる会社もあります。

例えば、設備投資の過多などによる資金ショート、需要や市場減少などです。他にも最近の傾向としてコンプライアンス違反による信用低下も大きな問題です。

暴力団との取引が明るみになった会社などは、取引先がいなくなって潰れたりしています。一番わかりやすいのは競合との競争によって負ける事ですが、今回この本ではそういった事例はあまり紹介されていなかったように思います。それも広い意味で需要・市場減少の部類でしょうか。

しかし、私たちが思っていた以上に会社というのは外部的要因で潰れたりしているようにも思います。

そういう意味で、斜陽産業と言われる業界にいるビジネスマンは注意が必要でしょう。外部環境の変化に対応できなければ会社は潰れる可能性が高いです。

この本から何が得られるのか?

倒産する会社の事例が読める。共通点をみいだせる。

この本の欠点

一つ一つの事例が浅く、あまり深掘りされていない。

書評まとめ

一つ一つの事例の表面に触れる程度の浅い本だが、こういった本はあまりないので一度は読んでみたい。

評価

そこそこ

最後まで読んでくれてありがとう。あなたが好きです。