引用:アマゾン
コミュニティを作ることの重要性
愛するあなたへ。
ライブ配信サービスSHOWROOM創業者が前田裕二氏が語る、これからのビジネスにおける重大な要素「コミュニティ」。これを作り出すことがどんな種類のビジネスにおいても欠かせないと著者の前田裕二氏は説いています。
そもそも前田裕二氏とは何者でしょうか?
前田裕二氏は非常にユニークな経歴の持ち主で、まだ30歳にも関わらず波乱万丈の人生を生きています。8歳の時に両親を亡くし、小学2年生にしてお金を稼ぐことの大切さを意識したといいます。近くのコンビニに行ってバイトさせてもらえないか頼むという既に凡人とはかけ離れた子供でした。
当然、バイトはできなかったものの、次に思いついたのは親戚の兄からもらったギターでストリートミュージシャンになって道行く人からお金をもらっていたそうです。そんな小学生、あなたは見たことあるでしょうか?
非常に努力家だった前田裕二氏は大学卒業後に外資系投資銀行に就職し、2011年からニューヨークで数千億~数兆円規模の資金を運用するファンドにアドバイザリーを行っていました。
しかし、ギターをくれた親戚の兄の訃報が届いたことで自分の人生を深く考えるようになった前田裕二氏は、世の中に価値を生み出すための仕事がしたいと望むようになり、起業を考えるようになったのです。
そうしてビジネスプランをDeNA創業者の難波智子氏に話すと、「うちで働いて事業の立ち上げを勉強してから起業すれば?」と言われ、それに納得して前田裕二氏はDeNAに入社。そうしてDeNAという会社の中でSHOWROOMという動画ライブ配信サービスを作り上げました。
SHOWROOMは動画配信者とファンが近いのが特徴です。
視聴者の一人一人がアバターで表示され、動画配信者は誰が見てくれているのか一人一人判別できて挨拶したり話しかけたりできます。またファンの方もコメントを出したり「ギフト」というおひねりを投げて動画配信者を応援できます。
SHOWROOMは双方向の「コミュニティ」が特徴的なサービスです。
「コミュニティ」には、人が感じる要素が詰まっているのです。人は絆、仲間意識、人や会社の裏にあるストーリーを重視します。そこに価値を感じてお金を払うのだそうです。
これはどちらかといえばスモールビジネスに適応しやすい方法論だと言えるでしょう。
大企業の場合はどうしても大勢の人を相手にする分だけ、お客さんとの距離が遠くなりがちです。しかし、どう考えたって会社が嫌われるより好かれる方が良いに決まっているし、双方向に気軽にコミュニケーションをとれる方がお客さんも安心感を得ることができます。
コミュニティの熱烈なファンはあなたに大きな利益をもたらすし、他のお客さんも連れてきてくれるありがたい存在です。できれば会社とお客という上下関係ではなく、同じチームのような連帯感を持つ事が重要です。
結束し助け合うような関係は、小さいコミュニティだからこそ可能になってくる仕組みです。
それを築くことができれば、あなたの会社は長く安泰になるでしょう。
この<人生の勝算>という本は、その具体的な実践手法について前田裕二氏の考えを織り交ぜて語られています。
著者の経歴
SHOWROOM取締役代表・前田裕二。大学卒業後、外資系投資銀行に入社。2011年からニューヨークに移り、北米の機関投資家を対象とするエクイティセールス業務に従事。株式市場において数千億〜兆円規模の資金を運用するファンドに対してアドバイザリーを行う。2013年、DeNAに入社。同年に仮想ライブ空間「SHOWROOM」を立ち上げる。2015年に当該事業をスピンオフ、SHOWROOM株式会社を設立。 同月末にソニー・ミュージックエンタテインメントからの出資を受け、合弁会社化。
〇若き努力家が掴んだ成功の秘訣
ヒットしているものの多くには当然ファンがいます。
しかも大ヒットしているものには「これに人生を賭けてるの?」と思えるほど熱狂的ファンがついていたりしますよね。そういうファンは時に信者と呼ばれたりもします。消費者を満足させるためのモノやサービスが、いつの間にか信仰の対象にまで変わった瞬間です。
SHOWROOM率いる前田裕二氏は本書でコミュニティの重要性を説いています。
しかし、コミュニティとは何でしょうか?
それは、あなたが提供するモノやサービスを好きになってくれるファンが、定着しやすいような場所を提供するという事です。
例えば、旅行である土地に行ったとして物凄く良かったとしましょう。自然は山があり海もあり、都会的でオシャレ、しかも空気も綺麗で静か。あなたにとっての天国がそこにあります。その場所を知ってしまったら今あなたが住んでいる家はゴミ溜めの中にあるのかと勘違いしてしまうほどです。
当然その土地を気に入ったあなたは移住を考えますよね。
でもそこには住宅が一つもなかったらどうでしょう?
よく見れば商業施設しかない町だったとします。
そうなったらあなたはそこに定着したくてもできません。その場所がいくら天国だったとしても旅費や時間の問題であなたはそう何度も訪れるわけにはいかないのです。
そしてやがて、その土地から足が遠のいてしまうはずです。
つまりコミュニティとはファンを定着させるための受け皿なのです。
ファンがあなたのビジネスを支えてくれているのだと理解するのは簡単だが、そこからさらに一歩進めて「ファンの居心地がいい環境を作る」ところまで進めようというのがこの<人生の勝算>の主張なのです。
コミュニティ作りに才能は必要ない
世の中にはいわゆる「才能」という厄介な要素があります。
仕事の中には「才能」がある程度ないとできない仕事もあります。例えばクリエイター業などは才能の占める割合が他の職種に比べて比較的高くなるでしょう。
しかし、才能というのは個人差があるもので、時にはどうしようもない壁にもなります。
でもコミュニティを作るという計画に才能は必要ありません。
正しい方向への努力さえ積めば、自分のビジネスに役立つコミュニティは誰にでも作れるのです。
つまりどんな職種でも実践しやすい内容なのです。
ではどういったコミュニティを目標にすればいいのでしょうか?
前田裕二氏は以下の5要素をあげています。SHOWROOMもその要素を参考に作られているのでしょう。
①余白があること
つい埋めたくなるような不完全な部分があると、逆にお客の共感を誘い、お客様同士が仲間を作ります。
その「不完全な部分を自分たちで埋めよう」という目標ができてお客様同士に結束力が生まれてコミュニティが強くなります。逆に完璧すぎるコミュニティはつまらないのです。
②クローズドの空間で常連客ができること
閉じられた空間は、常連客の帰属意識を駆り立てます。例えば誰でも会員になれるファンサイトよりも、限られた審査をパスしなければ入れないプレミアムファンサイトにいる方が満足度は高いのは当然です。
空間を限定する事によって自分の場所という帰属意識が生まれるのです。
③仮想敵を作ること
コミュニティにとってライバルの存在は、常連のお客様が結束して相手を倒そうとする原動力になりやすいのです。
常連客はプロ野球の応援団の存在のようなものです。野球が敵と戦わず自分ひとりで完結するスポーツだったら、あれほど統率された応援団という存在が生まれたでしょうか?
④秘密やコンテクスト、共通言語を共有すること
自分たちだけしか知らない「秘密の暗号」を作ることは、仲間内の結束を高めます。秘密基地を作るときに暗号を決めない小学生はまずいません。それは仲間の絆を生むのです。
⑤共通目的やベクトルを持つこと
共通目的、共通の方向性があってみんなでそれに進んでいれば協調が生まれるのは想像に難くありません。
あなたのビジネスを支えるのはファンである
コミュニティ運営のススメというのは言い換えれば、ファンを大事にするという事でしょう。
ファンを大事にすればあなたのビジネスが栄えるのは至極当たり前のことです。それはある意味、昔から変わっていない価値観なのかもしれません。
しかし一方で、ファンのためのコミュニティを作成するというアイデアはありそうでなかった観点でもあります。
どんなビジネスであれ、顧客をファンに変える事ができれば強力な支援者となります。
あなたの仕事にもそういう観点を持ち込んでみてはいかがでしょうか?
この本から何が得られるのか?
ファンビジネスの成功のさせ方
若き成功者の哲学
この本の欠点
やや内容が薄いか
書評まとめ
ファンビジネスにつていて学びたいならまずは手に取って読もう。
あらゆる職種が関係のあるビジネス手法なので、ビジネスマンが学ぶのは基本でもある。
評価
満足
最後まで読んでくれてありがとう。あなたが好きです。