【殿堂入り】ナイキ創業には日本が深く関わっていた!:<SHOE DOG(シュードック) 著フィル・ナイト>レビュー!

表紙

引用:アマゾン

日本の裏切りと貢献に支えられた一人のランナー

愛するあなたへ。

今日ご紹介する本は、ナイキの創業者フィル・ナイト氏の自伝<SHOE DOG(シュードック)>です。

ナイキといえば超有名なアメリカの靴ブランドですが、絶頂期である1997年にはアメリカのスポーツウェアメーカーの市場シェア47.5%を獲得していました。

つまり2人に1人はナイキを履いているという驚異的な数字ですね。ここまでくると笑えてきます。

しかし、そのナイキの創業には深く日本が関係していた事をあなたはご存知だったでしょうか?

この<SHOE DOG(シュードック)>によればフィル・ナイト氏はナイキを立ち上げる前、タイガーという日本のスポーツシューズをアメリカで売る代理店だったそうです。

ちなみにタイガーはアシックスの前身です。アシックスが日本のブランドだという事もこの本を読んで初めて知りました笑

自らも陸上選手でランナーだったフィル・ナイト氏は日本のタイガーという靴に惚れこみ、何の計画も持たないままタイガーの販売元であるオニツカを訪れ、商談の場でとっさに架空の会社「ブルーリボン・スポーツ」をでっちあげて代理店契約を結んでしまいます。

しかし後々、オニツカはフィル・ナイトとの取引を打ち切って別の販売店に乗り換えました。売る商品がなくなったフィル・ナイトの会社は潰れそうになりました。それでも自社製品「ナイキ」の販売を開始してなんとか乗り切りましたが急激な拡大で経営は火の車だったのです。

やがて銀行の融資がストップし、あわや資金繰りが行き詰まって倒産かと思われた時、手を差し伸べたのが日商岩井商社でした。(現在は双日)銀行のすべての借金を、日商岩井が肩代わりして全額返済することでナイキは倒産を免れたのです。

日本に裏切られ、しかしまた日本に救われたフィル・ナイト氏。

その経営方針はいたって強引な拡大路線で強気だったにも関わらず、この<SHOE DOG(シュードック)>の文面から漂ってくるのは控え目で内気な一人の男性像に過ぎません。

しかし<SHOE DOG(シュードック)>を読み進めれば、彼が「ナイキ」という巨大なブランドを創り出した伝説の経営者なのだと実感するでしょう。

著者の経歴

フィル・ナイト。ナイキ創業者。1938年生まれ。オレゴン大学時代には伝説のコーチであり共同創業者のビル・バウワーマンの指導を受ける。大学卒業後は1年間のアメリカ陸軍勤務を経て、スタンフォード大学大学院に進学。MBA取得。

1962年に日本のオニツカと契約してアメリカで靴の販売を始め、その後独自ブランドのナイキを立ち上げた。当時からすでにスポーツ用品界の巨人であったプーマ、アディダスを抜き去る大企業にまで育て上げる。1964年から2004年までナイキのCEOを務め、2016年まで会長を務めた。

控え目で日本人にも馴染みやすい語り口

<SHOE DOG(シュードック)>を読んで意外だったのは、アメリカ特有の自分を強く押し出してくるような内容ではなかったことです。

ポジティヴで、強く前向きで、自己正当化に優れている文章ではなく、むしろ内省的で自分の過ちや後悔を隠すことなくさらけ出している内容でした。

しかしその言葉の一つ一つからは深みを感じさせ、博識であることがうかがわせます。実はフィル・ナイト氏は執務室の裏に書庫を持っていて、その場所を神聖な領域にしているとか。フィル・ナイト氏の書庫に入室する者は皆、靴を脱ぎ、一礼しなければならないそうです。

多くの成功者は読書家である場合が多いそうですが、フィル・ナイト氏もその例に違わず読書家だったようですね。

しかし、控え目に語られているにも関わらず、フィル・ナイト氏の人生は波乱万丈で一つの物語として読んでも見応えのある内容でした。

まるで映画のような人生とは、こういう人生を言うのでしょうか。

ナイキの成功とまったく比例せず、いつまで経ってもフィル・ナイト氏は資金繰りで悩まされ、様々なトラブルに対処しながら全力で走り続けます。まるで短距離ランナーのように全力で。

下記のフィル・ナイト氏の心の声は、まさしくナイキの経営そのものでした。

-馬鹿げたアイディアだと言いたい連中には、そう言わせておけ……走り続けろ。立ち止まるな。目標に到達するまで、止まることなど考えるな。″そこ〟がどこにあるのかも考えるな。何が起ころうと立ち止まるな。-

引用:本文より

ビジネス書を読んでいるはずなのに、まるでスポーツの体験記を読んでいるような爽快な読み味はフィル・ナイト氏が常にアスリートでありたいと願っていたことと無関係ではないでしょう。

彼の強い情熱、そして現代のビジネス現場ではあまり見かけなくなった情に厚い人間性などを見ると、人としての大切な生き方を思い出させてくれます。

そしてそれこそがフィル・ナイト氏の成功した要因だったのではないかと考えさせられました。

人間味あふれる経営者

人間味

フィル・ナイト氏の経営は、私たちがアメリカと聞いて想像するような冷酷なビジネスライクな経営ではありませんでした。

<SHOE DOG(シュードック)>を読んで受けた印象は、どちらかというと人と人の繋がりを大切にし、お金よりも大切なもの、靴とアスリートへの情熱が原動力となっています。

ナイキ創業者たちにとってビジネスとは、自分たちもアスリートとなってスポーツに参加しているのと同じだったのです。

いまや経営に合理化・効率化が求められ、どこか熱のこもらないクールな経営が正解とされる世の中になっています。

ですが私はひたすら数字の大きさを競うだけのビジネスよりも、むしろフィル・ナイト氏のように夢を追ってアスリート達と一体になって熱中できるような仕事に魅せられます。

お金を稼ぐことはもちろん大切ですが、仕事というのはそれだけではモチベーションを保てないのではないでしょうか? 人が生きる上でもっと大切なことがあると思うのです。

自分の仕事が誰かの役に立つ実感。

私が何十年と仕事をやっていく上で重要なことは、やっぱりそこにあるんじゃないかとこの本を読みながら思いました。

ただお金を冷徹に稼ぐより、何かに熱狂して楽しみながらお金を稼ぐ方が楽しいですよね。

自分の大好きなことで仕事ができるならそれが最高だと思います。

例え、フィル・ナイトのような大金持ちにはなれなくても。

いま忘れられつつある「大事なこと」

<SHOE DOG(シュードック)>は自分の仕事観を考えるいいきっかけになりました。

ただの読み物としても面白く、翻訳もとても丁寧で違和感がありません。ですから「翻訳で読みにくいから海外の本って好きじゃない……」という方にもオススメです。

何も考えず頭を空っぽにして読んでもきっと満足のいく1冊です。

もちろん深く考えながら読めばたくさん学びもあるので、そういう意味でも<SHOE DOG(シュードック)>は素晴らしい本でした。

ぜひぜひ一度手に取ってみてはいかがでしょうか?

この本から何が得られるのか?

ナイキの創業物語について知れる

経営者の考えと、いかにして会社が成功するか(もしくは失敗しかけるか)学べる

経営にとって何が大事かの示唆を得られる

この本の欠点

経営を研究する本ではないので、適当に読み流すと学びを得られないかも。

人によって得られるものの大きさは変わってくる。

起業をまったく考えていないサラリーマンにはただの読み物?

書評まとめ

普通の読み物としてもオススメ。

起業家、経営者、経営幹部には、ビジネスに生かせる教訓も得られるかも。

評価

殿堂入り

最後まで読んでくれてありがとう。あなたが好きです。