会社が経営理念を作る意味とは?『奇跡の靴屋』から答えを学ぶ

経営理念を作ってみたものの……意味ある?

 

愛するあなたへ、こんにちは。

ビジネス本ソムリエのナカガワ社長です。

 

 

突然ですがあなたの会社に経営理念はありますか?

はたまた会社が経営理念を作って意味があるのかどうか、明確に答えられるでしょうか?

少しネットで調べただけでも「経営理念は作るべき」という意見が大多数を占めていて、大手企業の事例を載せているところもあります。

会社が経営理念を作る意味として、

「会社の方向性を決める」
「従業員のモチベーションを上げる」
「会社の判断基準になる」

といった理由がよく挙げられるのですが……。

実際、経営理念を作れば上記の課題を解決できると思いますか?

 

 

答えは残念ながら、NO。

 

 

世の中そんなに簡単なら誰だって会社の経営ができちゃいます。

 

 

経営理念を本気でやったら利益は減ります

見落としがちなのは、経営理念を本気で実現したらどうなるのか?という視点。

あなたの会社も利益を最大限に重視して経営しているかと思います。

普通であれば利益に繋がらないモノには力を入れず、利益に直結するものに力を入れていますよね。

会社というのは、素のままの状態なら『利益を追求する存在』です。

なぜなら会社とは社会貢献のために作られたわけではなく、誰かが経済的収入を

得るために作られたモノだからです。

しかし経営理念の追求は、利益追求とは別のベクトルです。

 

「お客様第一主義」
「従業員の幸せ」
「社会貢献を目指す」

 

 

こういった経営理念を掲げる会社は多いですが、どうでしょうか。

これを本気で実現したらコストがめっちゃ増えませんか?

 

 

お客様第一はともかくとして、従業員の幸せや社会貢献を本気で実現しようと思ったらどうなるでしょうか?

従業員の幸せを実現しようとして簡単に思いつくことといえば、給料アップ、休日の増加、福利厚生の充実……。

社会貢献なら会社全体でのボランティア、売上の中からの寄付、特定の団体への割引など。

こういった活動はまったく売上や利益に直結しません。

つまり会社の素の状態である「利益を追求する」という方向性とは全く反対の方針なのです。

 

経営理念を全力で追求した会社はどうなったか

アメリカに、「顧客と従業員に幸せを届ける」という経営理念を追求した企業があります。

「顧客と従業員に幸せを届ける」ためであれば、利益を度外視した活動を行う会社です。

 

 

例えばある女性は、病気の母親のためにその会社から靴を買ったものの、母親が靴を履くことなく亡くなってしまいました。

未使用なので返品しようと思っていたものの、諸々の片づけに追われてなかなか返品できずにいたのですが、そこに会社から靴の使い心地を尋ねるメールが来たのです。

女性は現在の状況を伝えて、きっと返品するので待っていて欲しいとの連絡をしました。すると「集荷サービスを手配するのでご心配なく」という返事がきたのです。

普通、その会社では集荷サービスの手配はやっていませんでしたが、その女性のために特別に用意したのでした。

母親を亡くし、傷心の上に色々な後始末に追われていた女性は、その企業らしからぬ「思いやり」にとても感謝しました……。

しかし話はそこで終わりません。

なんと後日、その女性の家にお悔みの花束とメッセージカードが贈られてきたのです。

女性の心を慰めようとその会社のスタッフが特別に手配したものでした。

 

 

いかがでしょうか?

私はこの話を聞いた時、とても感動しました。

しかしそれと同時に、「これから商品を返品するお客様に対して、お悔みの花を贈るなんて決断を自分はできるだろうか?」と考えてしまいました。

商品が返品されるとなると、当然のことながら送料がかかります。(返品送料は会社負担のようです)

それだけでもマイナス利益なのに、その上花束も贈ってしまったら非常に大きな損失になります。おそらく商品を何個も売ってようやくプラスマイナス0にもっていける赤字のはずです。

会社が利益の追求を考えていれば、普通はできない決断です。

 

 

しかしこの会社では他にも、

・お客様からの電話は何時間かかっても構わない(最長7時間半という記録)
・欲しい商品の在庫が自分の会社になければ、ライバル会社の在庫を調べてお客様に教える
・CEOがふざけて会社に電話してピザを注文したら(会社は靴屋)、店を調べてくれた。
・社内で急にパレードが始まる
・社員の席は各々の趣味で飾られている
などの行動(奇行?)がたくさん見られます。

これらの行動は、すべて利益と相反する行為です。

それでもこの会社は利益より経営理念を優先したのです。

 

 

その会社の名前は、ザッポス。

創業10年で年商1000億円を突破し、アメリカで全米No.1の靴のECショップとなった会社です。

 


ザッポスの奇跡改訂版 アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略 [ 石塚しのぶ ]

 

 

ここで紹介したエピソードはすべてこの本に書かれてあったものです。

 

解明:会社が経営理念を作る意味

なぜわざわざ利益を削る経営理念を作るのか?

ザッポスの奇跡」を読んで実感したのは、それが強力な差別化になる、という事でした。

経営理念のほとんどは利益を削るような行為になりがちです。

それはつまり、ライバル他社はまず実行しないこと。

ライバルが実行しないことを実行する。

しかもその行動が、お客様であれ従業員であれ誰かの利益や喜びに繋がるのであれば、途端にあなたの会社は他に替えのきかない唯一無二の存在になるのです。

そもそもビジネスにおいて一番強いのは、他にないモノを持っていること。

ライバル会社も扱っている商品を売ろうとして、値下げをする。

つまりそれは、「ライバル店より安い」という差別化を試みていることになります。

ですが値下げというのは強力であるがゆえに非常に安直で、どんな会社でも簡単に追随してきます。

一方、傷心のお客様に花束を贈ったり、一人のお客様の問い合わせに7時間もかけて対応することはライバルが真似しようとも思わない差別化の一つなのです。

 

 

例えばスターバックスが最高のコーヒーを提供することだけを目的にするのではなく、居心地の良さを追求するというのもその事例の一つだと思います。

他の喫茶店では長時間の滞在(勉強など)を断っている店が多いのに対して、スターバックスでは何時間滞在しても追い出されることはないそうです。

売上に繋がるような次々に来店するお客様をお断りする一方で、コーヒー一杯で追加注文もせずに何時間も滞在するお客様を優先するわけです。

ここでも経営理念を追求して利益は犠牲になっています。

ですがそれこそがライバルとの差別化になり、スターバックスが他の喫茶店に比べて頭一つ抜けるための要因となっているのです。

 

 

お客様に対しては売上に直結しますし、従業員に有利な経営理念であれば定着率やモチベーションのアップになります。

どうせ転職してもあなたの会社よりいい会社がないなら、誰も転職しようと思わないですよね?

 

 

正しい経営理念を実現すれば生存率は増す

経営理念とは、利益ではない会社の方向性を定めます。

ひいてはそれがライバルと違う行動をあなたの会社に取らせることになり、顧客や社員にとって他に代えがたい唯一無二の会社にしてくれるのです。

するとどうなるでしょうか。

直近の利益は減るかもしれませんが長期的な生存率は上がっていくはずです。

実際のところ、会社の最大の目的は「利益を出す」ことではなく、「長く生き残る」ことであるはずです。

なぜなら今年最大の利益を出したところで、来年には潰れてしまうなら何の意味もありません。

利益だけを追求するのではなく、あなたの会社の存在意義=他社にはない価値を作り出さなければならないのです。

 

 

なので経営理念は非常に険しい茨の道だといえます。

「綺麗ごとの標語」を並べても意味がありません。

「社員の幸福を追求する会社」という経営理念を設定したなら、サービス残業や休日出勤など社員にとって不利になっていた状態を潰していく。

なんだったら「誕生日休暇」のようにあまり他社に例のないモノも採用していく。

会社のシステムを経営理念に合わせてすべて変えるという覚悟がないなら、経営理念を決めたところで無意味なのです。

 

 

成功企業から学ぶのが近道

経営理念が会社にとって重要であることは間違いありません。

しかし結局のところ、会社の根本を揺るがす問題のため、まったくの0から手探りで決めていくのは難しいと思います。

先ほど紹介したザッポスとスターバックスは経営理念で他社と圧倒的差別化をしていますので、一度書籍に目を通してみるのもおすすめです。

 


ザッポスの奇跡改訂版 アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略 [ 石塚しのぶ ]

 


ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由

 

でも経営理念を会社に浸透させるっていうのは難しいですね。

私も自社の会社理念は「関係者全員を幸せにする会社」というものを打ち立てていますが、なかなか実現には遠い道のりです……。

少しずつでも他に負けない会社を作り上げていきましょう。

 

最後まで読んでくれてありがとう。あなたが好きです。