引用:アマゾン
1年に廃業する企業は33万件以上
愛するあなたへ。
今日は衝撃的な現実をあなたに知って欲しいと思っている。
増田明利氏の「今日、会社が倒産した。」を読んだ私は正直、胸が詰まった。
会社が倒産して無職になる事がとても身近に感じられたからだ。
中小企業白書によると、一年に廃業する企業は33万件以上。毎年全体の6%の会社が廃業しているらしい。
廃業する企業の平均従業員が5人だとしたら、165万人もの人間が毎年路頭に迷っていることになる。これはちょっと空恐ろしい数だ。
決して他人事ではない。今日、明日まではあなたは一般的な社会人かもしれなくても、半年後、一年後には急に会社が倒産して人生が激変している可能性があるのだ。
あなたも私も、いつ仕事を失うかわからない。
今やあの大企業シャープでさえ買収されてしまうような時代だ。
どんな会社でさえ倒産する可能性がある以上、どこにも安全圏などない。
こんな時代だからこそ、なぜ会社は倒産したのか? 内部の人間からはどういう風に会社が見えていたのか?
その体験談を通して、沈みかけた船を察知する危機管理能力を身につけておきたい。
著者経歴
増田明利。昭和36年生まれ。昭和55年都立中野工業高校卒。
ルポライターとして取材活動を続けながら、現在は不動産管理会社に勤務。
平成15年よりホームレス支援者、NPO関係者との交流を持ち、長引く不況の現実や深刻な格差社会の現状を知り、声なき彼らの代弁者たらんと取材活動を行う。引用:犬耳書店
会社が倒産する本当の理由とは?
一年間に33万件も倒産するという事実。
もし会社の倒産が「経営陣(社長)の無能さ」であるなら、それほど無能な社長が多いという事なんだろうか?
しかし、曲がりなりにも会社を運営する人間である。
もちろん無能な社長もいるのだろうが、それにしても33万人というのは多すぎやしないだろうか?
今回、この増田明利氏の「今日、会社が倒産した。」を読んで見えてきたのは驚くべき事実だった。
結論として、会社は社長が有能でも倒産するどころか、右肩上がりの成長を続けてきた会社でも、無借金経営の安定していた会社でも倒産するという事だ。
いわゆる優良企業ですら倒産してしまう。
一体それはどうしてなのか。
実は倒産の中でも少なくない原因は、会社自体に問題がない事も多かった。
つまり大規模不況、産業構造の変化、法律の変化、バブルの崩壊、根も葉もない噂(勘違い)などの外部要因によって会社は倒産することも多いのだ。
会社倒産の憂き目にあった人たち
この増田明利氏の「今日、会社が倒産した。」はドキュメンタリー形式になっているため、非常に書いてある内容が生々しい。
優良企業に勤めていたどちらかといえば優秀だった人間が路頭に迷い、求職をしているという話には背筋が寒くなる。
順調に成長していた会社がたった数年で転落していくさまを、彼らは内側からの視点で生々しく語ってくれる。
その中には会社に致命的な欠点があるものもある。
しかし中には「こんなのどうすればいいんだ?」と読者の私まで頭を抱えてしまうようなエグい倒産もあるのだ。
会社の倒産=経営が下手だったから、という私の曖昧なイメージは完全に覆された。
これが社会の現実だというなら無常という他ない。
知られざる現実を見た
会社の倒産を内側から見れる事など滅多にない。
仮にあったとしたら、あなたはもうそれを冷静に分析している余裕などないだろう。
しかし会社の倒産が対岸の火事ではなく、むしろ隣の火事だという事を意識するなら、「いかにして会社は倒産するのか?」という原因を知っておくのは重要な事だ。
倒産のパターンを知っていればあなたも倒産の兆候を感じ取れるようになるかもしれない。
本当に気を付けて欲しい。
倒産の兆候は思っているよりも急速に、しかも気付きにくい形で襲いかかってくる!
この本から何が得られるのか?
会社がいかにして倒産するのか?
倒産した後の社長や社員たちはどうなるのか?
そういった事がドキュメンタリー形式で生々しく語られる。
この本の欠点
明確な分析などがあるわけではなく、あくまでドキュメンタリーに終始しているので、「なぜ会社が倒産するのか?」や「倒産を避けるためにはどうすればいいのか?」といった分析は自分で考えなければならない。
書評まとめ
他にあまり類書がなく、倒産の内側を生々しく語っているので良書。
どちらかといえば成功者の本の方が多くの人に売れる傾向にあるが、失敗から学べるこういう本も重要なのは言うまでもない。
評価
満足
最後まで読んでくれてありがとう。あなたが好きです。